グローバリズムの出づる処の殺人者より(アラヴィンド・アディガ著)

(1)感想
いつもはこのような長編小説はあまり読まないのですが、インドの現状を描いているとの書評をみて2008年のブッカー賞を受賞したこの本(原題:The White Tiger)を読んでみました。
インドの企業家が殺人を犯した経緯を、インド訪問を控えた中国の首相に宛てた手紙で伝えるという形で物語りは進行しますが、内容がすごい。一気に読んでしまいました。
「闇」側の状況、「格差」が固定された階級制度、「賄賂」が蔓延してそれがあればどんなことでも正義になる社会。
グローバリズムによってとても強い「光」が当たっている部分がインドのすべてではなく、それどころかその反対側に大きく深い「闇」が存在しているということを改めて認識させられました。

これから世界経済を牽引していくインド・中国・ブラジルの貧困率は低下しているようですが、インドの低下率が最も小さい様です。
インド特有の社会構造が大きな足枷になっているのではないでしょうか。

(2)キーワード

「光」と「闇」