ベテランがケガをする原因はなんだろう
「製造業の仕事に従事して20〜30年のベテランが仕事中にケガをすることが
以前に比べて増えてきている」と伺ったことがあります。
その仕事に従事して間もない若手なら技術的に未熟でケガをすること
もあると思いますが、ベテランですからそこに問題はないはずです。
身体の衰えがあっても、そこも上手く調整されているのだと思います。
一方、製造業の現場では、日々の体調管理がしっかりなされているので、
「心技体」で捉えると、残りの「心」の部分に問題があるのではないかと
感じます。
今、ベテランには以前に増して大きな負荷が掛かっていると思います。
・不況(先行きの不透明感)による心理的負荷
・中堅社員の人材不足による仕事範囲・量の拡大による心理的・肉体的負荷
(採用を絞った結果、中堅社員が少なくなり仕事を分担できる人がいない)
そしてその様な忙しいベテランは若手に充分に目を配る余裕もなく、
若手にしてみれば「全然教えてもらえない」と不満が溜まる悪循環。
また、その防止策は「教育」と伺いました、非常に違和感を感じます。
なぜなら、「教育」の効果はそれを受ける人の能力や心理状態に大きく依存し
「教育」だけでは効果が限定されると思うからです。
ではどの様な防止策がいいのか、ということになりますが、私は「明るく
元気な”職場”」を創ることだと思います。即効性はなく、直接の関係はないと
思いますが、最終的にそこが答えになると思います。
労働災害の経験則にハインリッヒの法則 (Heinrich's law)というものが
あります。
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が
存在するというもの
ここでいう”異常”とは「職場のほころび」で”事故”とは「それに対する警鐘」
だと思うのです。