失敗の本質−日本軍の組織論的研究(戸部良一著)

(1)感想
太平洋戦争における日本軍の行動を研究することによって、失敗の教訓を導き出している良書。日本軍が他国軍との比較において犯した失敗の数々の原因を見ていくとまさに今、働いている会社の組織そのものだと気付き、おかしいと共に背筋が寒くなる思いがしました。
個人の能力・人と人との長年で培われる信頼関係は組織内で重要であることに疑いはありませんが、組織がそれを補完することができていない。その為に、その人あっての組織になってしまう、多くの日本企業はその頃の日本軍から表面上は改善されている様に見えても本質的な部分はあまり変わっていないのではないかと感じました。
この状況はベテラン社員の上層部独占、有能な若手の上層部への昇進が難しくなる結果を生み、それでは本質的な改革が行われるはずがありません。
これを打破する為には、能力に関係なく勤続年数で給与・役職が決まってしまう”年功序列”を廃するしかないのかなと思いました。

(2)キーワード

組織としての日本軍が、環境の変化に合わせて自らの戦略や組織を主体的に変革することができなかったということにほかならない。