間違いだらけの経済政策(榊原英資著)

(1)感想
日本の産業を取り巻く構造の変化等を踏まえ、今までの政策(経済理論)が理にかなっていないことを説明し、日本として今後どのようにすればいいかということが書かれていました。
特に資源対策(食糧、資源)については警戒感を持って対応すべきだとしています。
農林水産業については農地を徹底的に利用することを考え、「地産地消」に立ち戻る必要があると。EUも圏内での農作物の生産・消費を押し進めていますので見習うべきでしょう。今、日本へ農作物の輸出している国々(中国、東南アジア諸国含む)も何時までも安定的に供給してくれる保障もないのですから(インドは既に急激な人口増による国内消費増大に伴い、コメの輸出を制限しています (BBC NEWS | South Asia | India introduces rice export ban)。。。
不祥事ばかりでいいイメージのない農林水産省ですが本腰を入れて改革を進めて欲しいと思います(減反政策なんてもってのほかだと思います)。もし、数々の障害が取り除かれ、いろいろな思惑(高速道路建設に伴う立退き料・補助金)で何時までも休耕農地を手放さない農家の方がその農地を開放すれば、そこに(若者への)働き口ができ、多くの農作物を生産することによって自給率も上がっていい方向に進むことができると思います。もちろん新しい枠組みも必要でしょう。
林業・漁業も同じ様に障害を取り除き、新たな枠組みを創って欲しいと思います。
エネルギー政策について「原子力発電」を勧めており同意できます。日本の様な小資源国にとってはエネルギー政策も最重要課題と思うのですがまだ中東諸国の原油に大きく依存したままとなっています。安全性云々の話はもちろんありますが、世界トップレベルの技術力を生かして高速増殖炉の実現へのプロセス加速、または資源確保の為に世界一のウラン生産国であるオーストラリアとの包括契約等を実現させる必要があると思います。
もちろん太陽光・潮力・風力発電の普及促進も大事でしょう。

(2)キーワード

今、必要なのは食糧価格の中長期的上昇に対応して、どう農林水産業を活性化して国内の食糧自給を高めるかであって、偽装にどう対処するかではありません。

いわゆるグローバリーゼーションの時代で情報や技術はグローバルに展開されていますが、食は、逆に、ローカルに帰っていくべきです。